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マ
マリDate
2026/02/20
『エコロジー階級の登場についての覚書』ブルーノ・ラトゥール/ニコライ・シュルツ著(新評論)
気候変動や生物多様性の危機が叫ばれて久しい。しかし多くの人にとって、それは依然として遠い話だ。人間以外の存在たちの働きを考察した科学人類学者と若き社会学者が著した本書は、環境問題を他人事ではなく自分事として受けとめるための76の提言を記している。評者は「自己記述」の考え方に深く共感した。
著者らは問いかける。あなたは何に依存して生きているのか。その依存先を脅かすものは何か。自分が住む場所、食べるもの、呼吸する空気、それらを支える生き物やモノとの関係を、一つひとつ書き出してみよと。近代人は抽象的な一般論で世界を語りがちだが、自己記述は徹底して具体的で個人的な営みである。私は何者か、どの土地の上に立ち、どの時代を生きているのか。これらの問いに向き合う時、環境的思考は初めてリアリティをもって自分の身体を通過するのだ。
重要なのは、記述者の数だけ異なる記述があるという視点だ。唯一の正解はない。だからこそ一人ひとりが自らの変革課題を明らかにする必要がある。惑星と再接続するための一冊。川村久美子訳。(2420円)