早稲田大学文学学術院 文学研究科 表象メディア論コース所属の学生が対象の修士論文と博士論文の指導および他研究室所属の学生も参加可能なゼミを開講しています。
修士論文・博士論文指導
(表象・メディア論研究指導9-1M/D)
ドミニク・チェン研究室では、メディア論的な視座をもとに現代的なメディア・テクノロジー全般に関する研究を行いたい修士課程・博士課程生を受け入れています。人文科学の講義を履修できる文学研究科コースの利点を活かして、表象メディア論、人類学、エスノメソドロジーなどの方法論を参照しながら、当事者性のあるHuman Computer Interactionや相互行為論研究を指導します。修士、博士の両方で、テーマは学生それぞれの背景にある問題意識から決定することを重視し、前半は関連動向のサーベイとディスカッションを繰り返し、後半から予備実験や執筆に入っていきます。
- 2022年度で研究中のテーマ:
- 精神看護における電子メディアの問題点と構築論的なデザインの考察(M2 荒川宗佑)
- 中動態概念に基づく情報技術の自作の可能性(M1 吉村佳純)
タイトル | 氏名 | 種別 | 年度 | 副査 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
Phatic Lights: 孤独感を緩和するためのリモート型インタラクションシステムの研究 | Zhang Zhao | 修士論文 | 2021 | 2021年度
優秀修士論文 | |
複数人で描くデジタルイラストの研究 | 小薗江 愛理 | 修士論文 | 2020 | 細馬宏通,
橋本一径 | 2020年度
優秀修士論文 |
岩井俊雄におけるメディア・アートの内部と外部 | 佐久間 慧 | 修士論文 | 2018 | 草原真知子, 森山朋絵 |
院ゼミ(通年)
(表象・メディア論演習9-1/9-2 [通年科目])
院ゼミでは、ドミニク・チェン研究室所属の学生と、その時々で集まる他研究室所属の学生の方々とで、いつも多様な専門分野の参加者が集まるので、何を行うかは事前には決めておかず、毎年春の前半にディスカッションを行い、通年で研究するテーマを決めていきます。各参加者の修士論文の経過報告や、輪読会も適宜行いますが、研究指導の場というよりはそれぞれの専門や経験を活かし合い、学際的な「遊び」を通して、思考の振れ幅を広げることを目指します。
これまでの院ゼミでの活動:
2017年度:ウェブ上の良質な書評を再考する(構想フェーズ)
テキストを読み、書くというフィードバックループについてシステム論的に考えるディスカッションから始まり、ウェブ上に良質な書評空間が不在であるという問題意識にたどり着き、実際に参加者同士で文学作品の書評を執筆、相互レビューを繰り返しながら、ウェブ書評サービスの設計を行った。
2018年度:ウェブ上の良質な書評を実装する(実装フェーズ)
前年度で設計したウェブサービスを実際に実装し、ウェブサービス「extext」として公開することを目指した。Githubを使った協調コーディング、IllustratorやXDを用いた画面設計を通して研究室サーバー上で構築し、後期で学内限定で公開し、学部の授業や演習で活用した。また、大学院同人誌『In-vention』にて履修生全員の共著で論文「リレー書評サイトextextの設計と実装」を投稿した他、戸山キャンパス生協にて特設ブースを設け、選書フェアを行った。
※ コロナ禍以降、授業体制の変更に伴い使用は停止しているが、サイト自体は以下で公開中:
- in-vention論文PDF:
- 学内説明用リーフレット:
2019年度:修士論文指導
当年度は履修者の修士論文指導を行った。
2020年度:コロナ禍におけるリモートコミュニケーションの代替案を試行する
授業がフルオンラインに移行する中、ディスカッションのしづらさについて当事者研究的に話し合いを繰り返し、既存のオンラインサービスを利用してさまざまな試行錯誤を行った。Zoom上の2D/3Dアバターの自作、ZoomやメタバースSNS Clusterを用いた空間設計や新しい遊びの実践、作品の自由制作などを行った。
2021年度:「遊び」をデザインする
ハイブリッド授業で対面ディスカッションも再開しつつ、前年度で行った「遊び」の相互作用を探求するために、ミゲル・シカール『プレイ・マターズ』(フィルムアート社)を輪読しながら、「流用」概念を基軸に新しい遊びのデザインを行った。バドミントンの審判がプレイヤーには秘匿するルールを都度作り出し、プレイごとに不透明な加点と減点を加える「アドミントン」というゲームを考案し、年度末の学部ゼミ展示「唯言在中」にて記録映像を出展した。