岩波書店「世界」2026年1月号より、「非人間とのレッスン―絡まり合いのオート/エスノグラフィ」というタイトルで新連載を開始しました。JST RISTEX「ケアが根づく社会システム」採択プロジェクト「人間と非人間の惑星的ケア」を通して探求する、ノンヒューマン・モアザンヒューマンとの相互ケア関係について考察を重ねていきます。
糠床や発酵微生物との日常的な関わりを手がかりに、人間と非人間がどのように共に生き、関係を結び直せるのかが描かれる。微生物を単なる管理対象としてではなく、「声なき他者」として感じ取り、応答するための媒介として技術を捉え直す視点が提示される。伝統的な発酵醸造の現場に見られる身体感覚やケアの実践は、効率や制御を優先してきた近代的テクノロジー観に揺さぶりをかける。デジタル技術が生活を強く規定する時代だからこそ、人間中心主義を離れ、他種との距離や感覚を編み直す可能性が静かに、しかし力強く問いかけられている。
世界 2026年1月号
【特集1】創刊80年 それでも人間を信じる 戦後の国際秩序が、音を立てて崩れつつある。 大国による核の威嚇と法の蹂躙。かつて戦争の惨禍を経験した日本も、憲法9条が歯止めとならず、軍拡競争の一翼を担おうとしている。この現実を前になお、「人間を信じる」ことは可能か。「世界」初代編集長の吉野源三郎はこう述べた。 「『人間に対する信頼』も、一つの大きな賭です。……しかし、この賭なしには、人間の世界は死人のようなつめたさにひえてゆくほかはない」(「ヒューマニズムについて──人間への信頼」) 戦後の焼け跡からこの雑誌が生まれて80年。私たちは、ヒューマニズムに賭すことから始めたい。【特集2】ハラスメントの現在地 これってハラスメントかな? 冗談として、あるいは具体的な懸念として、日常的に話題にするようになった。 議員や首長のセクシャルハラスメントが告発されるも、居直り行為で深刻な二次被害が続くケースもある。 誰もが被害者、また加害者になりうるとの認識が広がる一方、そもそも、それは何を意味するのか。身近な環境で起きた場合にどう対応すべきなのか…… 現代人が抱えるモヤモヤの整理を試みる。
www.iwanami.co.jp